シグマからArtラインの85mmが発表されました。
85mmといえば、伝統的なポートレートレンズですので、人物撮影をメインとする方には必ずと言ってもいいほど必要なレンズになってきます。
私も子供達を撮影する関係上、必要となってくるレンズなのですが、最近までは富士フイルムのXシリーズをメインマウントにしていましたので「FUJINON XF 56mm F1.2 R APD」をメインレンズとして使ってきました。
fujifilm.jp
ただ、最近になりニコンにメインマウントを変更しましたので、85mmを検討しているところです。
そんな折にシグマが85mmの発売を発表しましたので、このレンズを第一候補とし、各社の85mmレンズをまとめておきたいと思います。
各社の85mm
記事編集時点(H28.9)での各社の現行レンズを紹介していきます。
キヤノン
まずは王者キヤノンから。
EF85mm F1.2L II USM
キヤノン:EF85mm F1.2L II USM|概要
キヤノンを代表するレンズといっても過言ではありません。
85mmといえばこのレンズでしょう。
AFの85mmレンズとしては唯一のF値1.2が最大の特徴です。
商品仕様 | |
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画角(水平・垂直・対角線) | 24°・16°・28°30' |
レンズ構成 | 7群 8枚 |
絞り羽根枚数 | 8枚 |
最小絞り | 16 |
最短撮影距離 | 0.95m |
最大撮影倍率 | 0.11倍 |
フィルター径 | 72mm |
最大径×長さ | φ91.5mm×84mm |
質量 | 1025g |
重量が1kg超えと、明るさを最大限に考えたレンズになっています。
持ち運びには気を使うレンズかもしれません。
MTF特性図
このMTFからわかることは開放時のユルさと、絞った時の解像感の高さのギャップでしょうか。
設計の古いレンズということもあり、開放からキレるのが主流となりつつある最近のレンズとは違う楽しみ方が出来ます。
事実、ポートレートの場合は、開放時のユルさも味になりますので、まさにポートレート専用設計といったところでしょうか。
レンズ構成
EF85mm F1.8 USM
キヤノン:EF85mm F1.8 USM|概要
キヤノンの85mmお手頃レンズがこちらのF値1.8のレンズです。
商品仕様 | |
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画角(水平・垂直・対角線) | 24°・16°・28°30' |
レンズ構成 | 7群 9枚 |
絞り羽根枚数 | 8枚 |
最小絞り | 22 |
最短撮影距離 | 0.85m |
最大撮影倍率 | 0.13倍 |
フィルター径 | 58mm |
最大径×長さ | φ75mm×71.5mm |
質量 | 425g |
F値1.2の特大レンズと比べると如何に軽いかが分かるかと思います。
重量は半分以下の425gとカバンにいつでも忍ばせておけるでしょう。
MTF特性図
F値1.8のMTFもF値1.2のレンズと似たような形でしょうか。
こちらの開放からのキレを楽しむレンズではなく、雰囲気重視の特性に感じられます。
キヤノンの85mmはどちらも設計が古くなってきていますので、新型の発表が待たれるところですね。
レンズ構成
ニコン
AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G
ニコンの現行85mmの最高峰はこちらのレンズ。
ナノクリが採用されたコチラのレンズも発売は2010年のことだったんですね。
シグマの85mmが発表された今、ニコンも最新レンズで対向してくれるのでしょうか。
仕様表 | |
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型式 | ニコンFマウントCPU内蔵Gタイプ、AF-Sレンズ |
焦点距離 | 85mm |
最大口径比 | 1:1.4 |
レンズ構成 | 9群10枚(ナノクリスタルコートあり) |
画角 | 28°30′(35mm判一眼レフカメラ、FXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ) |
撮影距離情報 | カメラへの撮影距離情報を出力可能 |
ピント合わせ | IF(ニコン内焦)方式、超音波モーターによるオートフォーカス、マニュアルフォーカス可能 |
撮影距離目盛 | ∞~0.85m、3ft(併記) |
最短撮影距離 | 0.85m |
最大撮影倍率 | 0.11倍 |
絞り羽根枚数 | 9枚(円形絞り) |
絞り方式 | 自動絞り |
最大絞り | f/1.4 |
最小絞り | f/16 |
測光方式 | 開放測光 |
アタッチメントサイズ(フィルターサイズ) | 77mm(P=0.75mm) |
マウントアダプターFT1適否 | AF駆動可 |
寸法 | 約86.5mm(最大径)×84mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで) |
質量 | 約595g |
キヤノンの最高峰レンズと比べると、いささか物足りないところでしょうか。
ただ、ニコンマウントではF値1.2のレンズは設計できないとも言われていますので、仕方がないところでもあります。
MTF特性図
MTFはキヤノンと比べ、開放からのキレが楽しめそうな数値となっています。
実際、このレンズを所有していたこともありますが、開放からキレキレとまではいきませんが、実用的な解像感が得られていました。
ただ、開放時は微妙なハロを纏ったような描写の個体でしたので(個体差?)、あまり使用することもなく手放してしまいました。
いずれにせよ、シグマの新型85mmに対抗するようなレンズの開発に期待するところです。
レンズ構成
AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G
AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G - 概要 | レンズ | ニコンイメージング
ニコンの85mm大本命レンズはむしろF値1.8のコチラのレンズです。
早い安いうまいレンズとはまさにこのレンズのことです。
軽くて明るくて安価なのに、写りは一級品です。
仕様表 | |
---|---|
型式 | ニコンFマウントCPU内蔵Gタイプ、AF-Sレンズ |
焦点距離 | 85mm |
最大口径比 | 1:1.8 |
レンズ構成 | 9群9枚 |
画角 | 28°30′(35mm判一眼レフカメラ、FXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ) |
撮影距離情報 | カメラへの撮影距離情報を出力可能 |
ピント合わせ | IF(ニコン内焦)方式、超音波モーターによるオートフォーカス、マニュアルフォーカス可能 |
撮影距離目盛 | ∞~0.8m |
最短撮影距離 | 0.8m |
最大撮影倍率 | 0.12倍 |
絞り羽根枚数 | 7枚(円形絞り) |
絞り方式 | 自動絞り |
最大絞り | f/1.8 |
最小絞り | f/16 |
測光方式 | 開放測光 |
アタッチメントサイズ(フィルターサイズ) | 67mm(P=0.75mm) |
マウントアダプターFT1適否 | AF駆動可 |
寸法 | 約80mm(最大径)×73mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで) |
質量 | 約350g |
特徴は圧倒的な軽さです。
わずか350gというこのレンズからは想像出来ないほどの写りを見せてくれます。
ただ、鏡筒はプラ感満載ですけどね。
MTF特性図
MTFからも解放から解像感にあふれた写りだというのが伝わってきます。
こんな安価なレンズでこの写りをされてしまうと次のレンズの開発が大変ですね。
ただ、解放時はパープルフリンジが盛大に発生しますので、この点はこのレンズの弱点です。
パープルフリンジ - Wikipedia
もうそれは爆発的に発生しますよ、はい。
ソフトで後修正も可能ですので、気になる人は後処理が必須になります。
レンズ構成
シグマ
SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art
85mm F1.4 DG HSM | Art | プロダクト | レンズ | SIGMA GLOBAL VISION
ようやく本日の本命、SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Artの登場です。
最近のシグマは写りを第一に他の全てを犠牲にする方針でユーザーの指示を集めています。
この85mmも最高の写りを目指して開発されているそうですので、否が応でも期待が高まります。
仕様 | |
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レンズ構成 | 12群14枚 |
最小絞り | F16 |
フィルターサイズ | φ86㎜ |
画角 | 28.6° |
最短撮影距離 | 85cm |
最大径 × 全長 | Φ94.7mm × 126.2mm |
絞り羽根枚数 | 9枚 (円形絞り) |
最大倍率 | 1:8.5 |
重さ | 未定 |
公式には重さが未定とのことですが、900g台との噂があります。
思いでかい=写りが良い のがカメラレンズの常識ですので、実に楽しみです。
また、レンズ構成が12群14枚と贅沢にふんだんに使われているのも特徴です。
フィルターサイズは86mmなんですね…デカすぎです。
MTF特性図
MTFは驚きの数値です。
ニコンのF1.8の解放時より、シグマのF1.4開放時の方が解像感に優れていることになります。
また、空間周波数の放射方向と同心円方向が重なり合っているため、ボケ味も美しいことが予想されます。
レンズ構成
タムロン
SP 85mm F/1.8 Di VC USD
TAMRON | SP 85mm F/1.8 Di VC USD
タムロンといえば安価な高倍率ズームレンズやマクロレンズが主流で、単焦点レンズの開発は遅れていたのですが、最近はレンズのデザインの変更とともに方向転換したようで、手ぶれ補正付きの単焦点レンズを次々と発売しています。
その中に、これまでのタムロンにはなかった85mmも含まれています。
製品仕様 | |
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モデル名 | F016 |
焦点距離 | 85mm |
明るさ | F/1.8 |
画角(対角画角) | 28°33' |
レンズ構成 | 9群13枚 |
最短撮影距離 | 0.8m |
最大撮影倍率 | 01:07.20 |
フィルター径 | φ67mm |
最大径 | φ84.8mm |
長さ | 91.3mm (キヤノン用) 88.8mm (ニコン用) |
質量 | 700g (キヤノン用) 660g (ニコン用) |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
最小絞り | F/16 |
手ブレ補正効果 | 3.5段 (CIPA規格準拠) |
標準付属品 | 丸型フード、レンズキャップ |
対応マウント | キヤノン用/ニコン用/ソニー用*** |
希望小売価格 | 110,000円 (税抜) |
タムロンの魅力はなんといっても手ぶれ補正です。
他社にはない特徴であるタムロンの優れた手ぶれ補正を見事に乗っけてきました。
デザインもシグマに寄せてきたわけではないでしょうが、シンプルでとても好感がもてます。
ただ一点、望まれていたことは、同じプロダクトラインでもある「35mm VC」や「45mm VC」と同様に寄れるレンズであれば爆発的に売れていたことでしょう。
専門家ではないので詳しくはわかりませんので設計上の無理があるのでしょうが、これが最短撮影距離50cmで売り出せれば、誰もが飛びつくレンズになったに違いありません。
35mmや45mmはとても寄れるレンズだったので、なおさら残念でなりません。
MTF特性図
MTFに関しては、競合他社より頭一つ抜けています。
キヤノン・ニコンの純正品はもとより、解像度重視のシグマをも超えています。
もちろんF1.8とF1.4の違いがあるので、そう簡単な話でもないのですが、この数値は素晴らしいものです。
まあ、シグマのレンズと同様に空間周波数の放射方向と同心円方向が重なり合っているため、ボケ味も美しいことが予想されます。
レンズ構成
贅沢なXLDレンズを使っています。写りが良いのにも納得してしまいます。